2021/08/06
精神医療とデジタルツールの可能性(第2回)
認知機能障害に対するデジタルスクリーニング
疾病管理・患者モニタリング, 臨床医, デジタルセラピューティクス
認知症の早期発見に向けて
2021年6月8日、米国食品医薬品局は、アルツハイマー病(AD)の病因とされるアミロイドβを減少させることで、ADの病理に作用する唯一の薬として、アデュカヌマブをAD治療薬として迅速承認した。アデュカヌマブは、バイオジェンとエーザイにより開発された薬剤であり、ADの初期段階である軽度認知障害(MCI)または軽度認知症患者を対象とした試験で、アミロイドβを減少させる効果が確認されている。しかし、実際の認知機能障害への効果は、2本の第3相試験で相反する結果が得られており、事後解析によって有効性を確認したにすぎない。
アデュカヌマブを使用することで、どの程度、臨床的に意味のある差−近年ではMinimal Clinical Important Differenceと表現される−があるのかを示す必要がある、との批判もなされている。とはいえ、ADの根本的な治療に繋がる可能性があることには変わりない。今後は、認知機能障害の早期発見、とりわけ認知症が顕在化する手前であるMCIを同定することがますます重要になることは、容易に想像できるだろう。
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