2023/06/27
米国eHealthジャーナル第90号
OURA、デジタルID技術スタートアップのProxyを買収
Oura Health, 疾病管理･患者モニタリング, VC投資･M&A･決算, ジャーナル第90号, ウェアラブル
新規分野の開拓で、将来の成長を促進
指輪型のウェアラブル・ヘルストラッカー「Oura Ring」を提供するOURAは5月9日、デジタル本人認証（ID）技術スタートアップ企業のProxyを買収したと発表した。OURAによると、取引は全て株式によって実施された。Bloombergの報道によると、今回の買収におけるProxyの価値は1億6,500万ドル。Proxyの創業者を含む同社のチームは、OURAに加わることになる。
Proxyは、鍵やカード、アプリ、パスワードなどの代替を意図したデジタルID技術を提供している。同社は、スマートフォンだけでなく、ウェアラブルデバイスにも同社の技術を搭載するよう取り組んできたという。
OURAのCEOであるTom Hale氏は声明で、「Proxyの買収は、ウェアラブル市場におけるOURAのリーダーシップを拡大するものだ。また、デジタルID技術を当社の既存製品に統合するという野心を示すものであり、OURAは、革新的なProxyチームと協力し、決済、アクセス、セキュリティ、認証などの分野において新しい機会を開拓し、将来の成長を促進することを期待している」と述べた。
2013年にフィンランドで設立されたOURAは、睡眠とアクティビティをモニタリングするOura Ringを提供している。同社は最新版の「Oura Ring Generation 3」を2021年にリリースした。Oura Ringは、赤外線の照射により心拍数の変化をとらえる赤外線PPGセンサー、体温を正確に測定するNTCサーミスター、アクティビティスコアを測定する3D加速度計とジャイロスコープを備える。Ouraによると、一般的なアクティビティ・トラッカーで採用されている緑色LEDセンサー基盤の光学系心拍計と比較して、同社の赤外線PPGセンサーはより正確な測定値を提供できる。Oura Ringは見た目は普通のチタン製の指輪であるが、搭載された複数のセンサーによって、身に着けているだけで睡眠の質や量、深度を解析したり、歩数や無活動時間の測定、運動時のパフォーマンス解析などを行うことが可能だ。Ouraによると、完全に充電された指輪は、平均で4～7日持続する（使用年数や特定の機能の使用によってバッテリー持続時間は変化する）。
出典：OURA
第3世代Oura Ring Generation 3は、既存モデルと同じフォームファクタとバッテリー寿命を持つが、搭載センサーの数は3倍、メモリー容量は32倍と、大幅な改良が加えられている。最大の特徴は、新たに搭載された緑色LEDセンサーによる24時間365日の健康状態トラッキング機能で、心拍数を常時モニタリングできることだ。また、体温モニタリング機能が改善され、わずかな体温の変化から次の生理周期を予測する機能も加えられた。
OURA は2022年8月、FDA承認済みの避妊アプリ「NC° Birth Control」の開発企業であるNatural Cyclesと提携した。これにより、Oura Ringが計測した体温データはNC° Birth Controlアプリに同期されることとなり、ユーザーが毎朝基礎体温をマニュアルで計測する必要性をなくした。
（了）
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