2022/10/25
米国eHealthジャーナル第75号
GSK、分散化臨床試験の実施でMedableと提携
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新薬開発の加速化とよりインクルーシブな臨床試験の実現を目指す
英国の製薬大手GSK とソフトウェア企業のMedableは、GSKの医薬品ポートフォリオ全般において分散化臨床試験(DCT)を実現することを目的として4年間の提携契約を締結した。Medableが9月7日に発表した。
製薬業界は、DCTに高い関心を示しており、一部の企業は10年ほど前から臨床試験のバーチャル化を試みている。バーチャル臨床試験とも呼ばれるDCTは、デジタルヘルス技術(DHT)の活用などによって患者の治験実施施設への訪問頻度をなるべく少なくすることで、臨床試験の地理的・時間的な制約を取り払い、被験者登録の難航を理由とした試験開始の遅延や試験の失敗を回避できる方策となることが期待されている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中、製薬企業は感染防止のため、進行中の臨床試験のプロトコル変更を余儀なくされたが、それが結果的に臨床試験のバーチャル化を後押しすることとなった。地理的制約がないことはDCTの利点の1つであり、リアルワールドでの患者人口をより正確に反映する、多様性のある被験者集団を擁することが可能となる。
GSKはMedableとの提携により、新薬開発を加速化させるほか、被験者選定において、よりインクルーシブな臨床試験の実現を目指す。
Medableは臨床試験のタイムラインを50%短縮することをミッションとするカリフォルニア州パロアルト拠点のスタートアップ企業。Medableは、患者エンゲージメント、遠隔データ収集、システムの相互運用性を確保しつつ、臨床試験アプリへの容易なアクセスを患者に提供するDCTプラットフォームを持つ。このプラットフォームは「サービスとしてのソフトウェア(SaaS)製品」として提供され、これまでに60カ国以上で300件以上のDCTあるいはハイブリッド臨床試験で利用されている。Medableによると、同社のサービスを利用した試験では、被験者登録のスピードが200%加速され、試験コストの50%削減が達成されているという。
Medableは急成長を遂げている。同社は、2020年4月のシリーズB投資ラウンドで2,500万ドル、2020年11月のシリーズC投資ラウンドで9,100万ドル、2021年4月のシリーズC追加ラウンドで7800万ドルを調達している。直近の資金調達ラウンドは2021年10月のシリーズD投資ラウンドで、新規投資家のBlackstone GrowthとTiger Global、既存投資家のGSR Venturesによる共同主導の下、 Medableは3億400万ドルを調達した。シリーズD投資ラウンド時点での同社の評価額は21億ドル。
出典:Medable
(了)
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