2023/04/11
米国eHealthジャーナル第85号
超党派上院議員、テレヘルス企業3社に書簡送付
テレヘルス, 行政・規制ニュース, ジャーナル第85号, セキュリティ
ユーザーデータをマネタイズするビジネス慣行
エイミー・クロブチャー(民:ミネソタ州選出)、スーザン・コリンズ(共、メイン州選出)ら4名の超党派上院議員は2月2日、テレヘルス企業と第三者企業との患者データ共有状況に関する情報提供を求める書簡をMonument、Workit Health、Cerebralのテレヘルス企業3社に送付した。
この動きは、数十社のテレヘルス企業が金銭的対価を受けて、GoogleやFacebookといったソーシャルメディアやオンライン検索プラットフォームと、個人の特定が可能な患者のヘルスケア・データを共有しているという、StatおよびThe Markupなどの報道を受けたもので、超党派の上院議員らは書簡においてこれらの企業にユーザーの医療データの保護を強化するよう求めた。
Statは、書簡で取り上げられた3社を含む50社の消費者直販(DTC)テレヘルス企業を対象として調査を実施しており、それによると、50社のうち49社はユーザーが閲覧したウェブサイトのURLを第三者の広告主に送信していた。また、35社がユーザーの個人情報を、13社が健康関連の質問に対するユーザの回答を送信していた。11社は、ユーザーがオンラインショッピング・カートに入れた商品(多くは処方箋医薬品)のデータを送信していた。
書簡は、3社が行っているとされる具体的なビジネス慣行を指摘した上で、いくつかの情報を提出するよう求めている。その1つは、テレヘルス・プラットフォーム上でユーザーにセンシティブな個人情報の入力を求める、ユーザーへの質問の完全なリストである。書簡によると、例えばWorkit Healthでは、自分自身や他人を傷つける危険はあるか、現在のオピオイドとアルコールの使用量はどの程度か、メタドンをどの程度使用しているか、といった質問が設定されており、ユーザーの回答は、フルネーム、eメールアドレス、電話番号などの情報とあわせてFacebookに送信されているという。
書簡は、テレヘルス企業3社に対して2月10日までに回答するよう求めている。
デジタルヘルス企業によるユーザーデータの取り扱いに関する懸念は、高まりつつある。2月1日には、ユーザーの健康データをFacebookやGoogleなどと共有したとされる GoodRxが、150万ドルの和解金を支払うことで連邦取引委員会(FTC)と合意している。2011年設立のGoodRxは、全米7万以上の小売薬局やメールオーダー薬局が取り扱う数千種類の処方箋医薬品について、保険なしで購入する場合の価格と、割引クーポンや薬局会員割引を使った場合の価格、メディケア受給者の価格、そして製薬企業が提供する割引情報をウェブサイトで提供している。GoodRxはウェブサイトの広告スペースを販売するビジネスのほか、2019年9月にはテレヘルス企業のHeyDoctorを買収し、現在ではテレヘルスサービスも提供している。
(了)
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