2023/04/25
米国eHealthジャーナル第86号
減量アプリ企業のWW International、Sequenceを買収
WW, ウェルネス・運動療法, ジャーナル第86号, 肥満症, VC投資・M&A・決算
処方箋減量薬であるGLP-1受容体作動薬を提供へ
減量アプリに特化するWW International(以前の社名はWeight Watchers、以下WW)は3月6日、処方箋減量薬の提供を目的として、テレヘルスプラットフォームのWeekend Health(通称Sequence)を買収する計画であると発表した。Sequenceは、長期体重管理を専門とするプロバイダーへのアクセスを提供するサブスクリプション型のプラットフォーム。WWによると、現金と株式による買収取引の規模は1億3200万ドルと評価されるが、実質的な純購入価格は1億600万ドルであるという。同取引は、2023年第2四半期に完了する予定だ。
Sequenceは、テレヘルスによる診療サービスや、保険プランとの交渉・調整、栄養およびフィットネス計画の提供に加えて、処方箋減量薬であるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬の「semaglutide」をメンバーに提供している。2021年に立ち上げられた同プラットフォームのメンバー数は約2万4,000人(2023年2月時点)。semaglutideは2017年に成人の2型糖尿病患者における血糖管理を適応としてFDA承認を受け、その後に長期体重管理薬としての開発が進められ、2021年6月に同適応症でも承認を獲得した。
WWのチーフ・サイエンティフィック・オフィサー(CSO)であるGary Foster博士は声明で「WWの行動変容プログラムは、人々が長期にわたって実行できる健康習慣を構築するのを支援するとともに、GLP-1受容体作動薬の服用中にしばしば起こる副作用を管理するのに必要なサポートを提供できる」と述べた。
WWは、ダイエットアプリ「Kurbo by WW」などで知られる。Kurbo by WWは、WWが2018年に買収したKurbo Health(以下、Kurbo)のダイエットアプリに、若者に人気のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、Snapchat類似のインターフェースを採用し、呼吸法エクササイズ指導や、定期的な運動を奨励する「ストリーク」などを追加したティーンエージャー向けのアプリ。同アプリは、Stanford University開発の「信号機システム」を利用して食物を分類している。禁止されている食物はないが、青のフードアイテムは自由に食べてもよく、黄のフードアイテムは少量なら可能、そして、赤のフードアイテムは立ち止まって考える必要がある。アプリのダウンロードは無料で、複数のツールも無料で利用できるが、サブスクリプションフィーを支払うと週に1回、マンツーマンのオンライン・コーチングを受けることができる。
米国疾病管理予防センター(CDC)によると、2013~2016年の間に16~18歳のティーンエージャーの38%が過去1年に減量を試みたと回答しており、青年期のダイエット支援にはニーズがあると考えられる。その一方で、青年期のダイエットは、適切に行われないと、摂食障害や自己イメージの低下を招く恐れがある。American Academy of Pediatricsは、成長期の子供にマイナス影響が及ばぬよう、「体重」の話を避けて、「健康なライフスタイル」にフォーカスすることを進めている。
(了)
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