2023/07/25
米国eHealthジャーナル第92号
ケア施設向けスマートプラットフォームのcare.ai、Samsungと提携
疾病管理・患者モニタリング, 提携, care.ai, ジャーナル第92号
ヘルスケアグレードのディスプレイを組み合わせた統合ソリューションを提供
人工知能(AI)を基盤としたヘルスシステムおよび長期ケア施設向けの自動化プラットフォームを手掛けるcare.aiは6月7日、多国籍エレクトロニクス企業のSamsungと提携したことを明らかにした。これにより、care.aiのプラットフォームをSamsung製のディスプレイに統合し、医療機関での利用を可能にする。
2018年設立のcare.aiは、AI基盤のケア施設向けスマートプラットフォームである「Smart Care Facility Platform」と、最先端のアンビエント・インテリジェンス(ambient intelligence)・センサーを活用し、ヘルスケア業界の「スマートケア時代」をリードするフロリダ州オーランド拠点のスタートアップ企業。アンビエント・インテリジェンスとは「空間・環境内のセンサーから人の動きなど健康に関する情報を解析する技術」のことであり、近年の医療AI領域でトレンドとなった概念のひとつである。Smart Care Facility Platformは、ケア施設内に張り巡らされたセンサーネットワークを活用し、AIで患者をモニタリングすることで、リアルタイムの患者行動データを収集するとともに、臨床およびオペレーション上の洞察をケアチームに提供する。
出典:care.ai
care.aiによると、すでに1,500を超える医療施設が同社の技術を導入しており、タイムリーかつ患者に寄りそったケアの提供を支援するとともに、ケア現場の状況やオペレーションの大幅な「見える化」を可能にしている。さらにこのプラットフォームは、バーチャル看護や専門医バーチャル診療といった新しいバーチャルケアモデルを拡張する機能も提供している。
care.aiによると、care.aiのプラットフォームとSamsungのヘルスケアグレードのディスプレイを組み合わせた医療システム向け統合ソリューションは、臨床医と患者の両方に対してより優れた体験を提供する。ケアチームは、ケア現場の環境をより正確に把握することができるようになり、Samsungのディスプレイとペアリングされたcare.aiのデバイスからバーチャル診療に参加することが可能となる。患者は、より応答性の高いケア環境に身を置くことで、よりよい体験を得ることができる。
care.aiは2022年11月には、Crescent Cove Advisors が主導した投資ラウンドで2,700万ドルを集めたことを発表し、「ヘルスケアへのアンビエント・インテリジェンス提供」と同社の成長拡大のために、この調達資金を活用すると述べた。
care.aiは2023年1月には、コロラド州を拠点とする継続的遠隔患者モニタリング(PRM)企業のBioIntelliSenseと提携し、同社のウェアラブル製品「BioButton」をcare.aiのスマートプラットフォームに統合すると発表している。 BioButtonは、安静時の体温、呼吸数、心拍数などを把握するバイタルサイン・モニタリング用のパッチ型ウェアラブルで、充電して再利用することが可能。BioButtonはFDA未承認でOTC製品として薬局で購入が可能であるが、BioIntelliSenseによると製品自体は医療グレードであり、18歳以上の患者のデータ取得のために医師が処方することもあるという。
(了)
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