2023/06/13
米国eHealthジャーナル第89号
イスラエル拠点のNeteera、シリーズB投資ラウンドで1,300万ドルを調達
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医療用の非接触型患者遠隔モニタリングシステムの展開を加速
遠隔患者モニタリング技術を開発するイスラエル拠点のスタートアップ企業、Neteera Technologies(以下、Neteera)は4月20日は、シリーズB資金調達ラウンドを完了し、1,300万ドルを調達したと発表した。Aescuvestが主導した同ラウンドには、Omega Healthcare Investors(以下、Omega)、Nanz Family Office、Esas Private Equity、Ankor Holdingも参画した。
Neteeraはまた、Omegaと戦略的提携契約を締結したことも明らかにした。Omegaは長期介護ケアを提供するヘルスケア産業への資金供給に特化する不動産投資信託(REIT)。合意の下Omegaは、Neteeraのプラットフォーム技術を米国内の長期介護施設や高度看護施設(SNF)に提供する予定だ。
Neteeraは、高性能レーダー技術を使って、心拍数や呼吸数、呼吸深度、心拍変動などのバイタルを追跡する非接触型患者遠隔モニタリングデバイスを提供している。部屋に取り付けたレーダーは、患者の衣服越しでも皮膚の微細な動きを感知して、患者のバイタルサインに関する情報を収集することが可能だという。
出典:Neteera
Neteeraは2022年9月、レーダー基盤の非接触型心機能継続モニタリングデバイス「Neteera 130H/131H」について510(k)経路でFDAから承認を取得した。130H/131Hは、医療機関もしくは患者の自宅において利用可能なデバイスで、医師による利用が意図されている。これは、データに基づく患者ケアを支援するものだ。
Neteeraは、今回調達した資金をもとに、患者遠隔モニタリング・ソリューションの開発、販売、展開を加速させ、自社の医療用センシングプラットフォームをさらに発展させる予定だ。
同社のリード投資家であるAescuvestのパートナー、Sebastian Gührs氏は、「Aescuvestは、社会にポジティブな影響を与えるヘルスケア開発への資金提供に取り組んでいる。Neteeraの革新的な技術は、患者のモニタリングとケアのあり方を革新する可能性がある」と声明で述べた。
患者の健康状態を遠隔でモニタリングする機能はますます導入が進んでいるが、専門家は、患者が追加の技術習得を必要としない、患者にとって使い勝手のよいデバイスを選ぶことが重要だと述べる。非接触型の患者モニタリングシステムは、患者や介護者の負担が極めて少なく、注目されている。
マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点とするEmerald Innovations(以下、Emerald)も、ウェアラブル・デバイスを利用することなくユーザーのバイタルサインなどを捕捉する、非接触型患者モニタリング技術を開発中。Emerald は、Massachusetts Institute of Technology(MIT)の教授・研究者らが設立したスタートアップ企業で、同社が開発中の「インビジブル(invisibles)」と呼ばれる新クラスのセンサーは、ワイヤレスシグナルを送信してシグナルの反射からヒトの「動き」を再構築する。それを人工知能(AI)アルゴリズム分析と組み合わせることで、完全ワイヤレスで患者モニタリングが可能となる。
(了)
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